第91話 丹生一族 - 嵯峨野の月(白浜 台与) - カクヨム


第91話 丹生一族 - 嵯峨野の月(白浜 台与) - カクヨム

 

あ~、これ投稿して

 

何か突き抜けたな…と思った訳で。

 

まずはタイトルが思い浮かばない。

構成で悩む。

 

多いうんちくどうまとめる?

 

で悩みまくったエピソード、

 

ちなみに当作品の一話一話のタイトルは

 

なにがしかの小説やドラマや漫画へのオマージュ(つまりはパクリ)だったりする。

 

親王様の恋」は江戸川乱歩の「人でなしの恋」だったり

 

「或王子の一生」は芥川龍之介の「或阿呆の一生」だったり

 

そして今回の「丹生一族」は…

なんと、元ネタドラマの「ムー一族」です。

 

主題歌が林檎殺人事件、のあのドラマです。

郷ひろみ樹木希林さんがデュエットしていた

フーニフニフニフニ~🎤

と変な歌詞の歌だな。幼い管理人の記憶に刻まれていたドラマです。

 

 

 

 

達人伝と、錬金と錬丹

高野山で丹生一族と、秦一族がやっていたであろう辰砂の採掘と丹への精錬。

 

で興味が広がって大陸の西では卑金属から純金を生成する目的或いは賢者の石を作るで錬金術

 

大陸の東では不老不死の薬を作る錬丹術といって研究を重ね、

 

瓢箪から出たまこと。

ではなく

迷信から生まれた化学。

だったのだなあ…

 

特に錬丹術は重金属を煮詰めて作った丹薬を飲んで始皇帝始め唐の皇帝が何人か死んだり、

山に入って独自に丹薬の研究をしていた道士たちが研究成果を服して…

 

即死したりしている!

 

ので次第に薬を作る外丹術は廃れ、代わりに内丹術という呼吸で体の調子を整える気功の元祖みたいな術を深めて行った…

 

という流れが面白くってそのついでに

「達人伝」という古代中国ものの漫画を読み始めた訳で。

 

蒼天航路」と同じ王欣太さんや~ん。

この人の漫画のキャラ立ちが強烈だけど何か爽やかで好きなんですよね。

 

人気漫画「キングダム」と歴史が被るところあるので楽しみに読み進めています。

 

特に主役の荘丹、彼が時々やっている大呼吸というのは内丹術らしい。

大ボラとハッタリの達人。お祖父ちゃんは「あの」荘子

 

と無名(ウーミン)と、

知識とうんちくの達人。出自に訳あり。なぜか関西弁。「秦が今よりえげつない国になるやなんて…」ってセリフには笑う。

 

残念ながら、えげつない国はまだ地球上にいくつか存在してますよ。無名さん。

 

庖丁(丁烹)

料理と任侠の達人。叔父さんが包丁の元ネタの人。巨大な牛刀で敵をバッサバッサ。

 

の三人が活躍するストーリーです。

 

 

 

 

 

解除6日め

熊本で緊急事態宣言解除されて6日め。

 

相変わらずガーゼマスク二枚交互に洗いながら使用してます。

 

4月の10日頃にストックが無くなってウレタンマスクすると中が蒸れるので、ドンキホーテでガーゼマスク見つけた時は、

 

ありがたや~✨って思って買いました。

 

熊本市の端っこ近くに住んでいて地震後更地が増えて人が減って朝と夕方以外あまり人が居ない町なんですが、

 

外出自粛中は買い物時に近所に買い物に出るくらい。道で見かける人は一人か二人の…

 

本当にゴーストタウンみたいになってました。

 

どうしてなんだろう?食糧も水もあるのに、震災の避難生活より辛かったのは。

 

解除後に整体に行って

「色んなものを背負い込んでるレベルで体が強張っている」と先生に言われてやっと、

 

ああ、人に近づきすぎないようずっと警戒し続けてたんだ…

 

と解り、ストレッチと一日8000歩歩くのを再開。

 

尻と太ももの筋肉痛で、

 

今までどんだけ運動不足だったんだよ!と思い知りました。

 

嵯峨月の「秘密」の章全体の設計図が頭の中で出来上がり、今は高野山に住む「丹生一族」を冒頭の1000字書いたので、

 

まーどーにかなるっしょ。

 

序盤、○○○の新造と、高野山開創へむけて。

 

中盤、嵯峨親政のはじまりと泰範の正体。

 

終盤、空海vs最澄「魚住める湖」に成れるか?

 

な話の予定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3話 もみ消して、秋 - ヨイショの男、惟光くん物語(白浜 台与) - カクヨム


第3話 もみ消して、秋 - ヨイショの男、惟光くん物語(白浜 台与) - カクヨム

 

第3話 もみ消して、秋

 


程なくして光る君は夕顔の花をくれた女主人と逢瀬を重ねるようになりました。

 


夕顔の君との逢瀬から帰った光る君のデレデレしたにやけ顔といったら!

 


あれを脂(や)に下がっている。って言うんだな。って僕は思いましたよ。

 


「で、さ~あの人が頼りなく僕の胸にもたれるところなんて男としてはもうたまんないんだよねえ…

ちょっと惟光くん聞いてる?」

 


「はいはい聞いてますよ」

 


こっちは雑用が立て込んでいて忙しいのにいちいち話しかけないで欲しいんですけど、相手は我が主。

 


やっと心安らげる女性に巡り会えたのだ!

 


という喜びを話したくて話したくてしょうがないんだから聞いてあげるしかないでしょうが。

 


「僕より少し年上な感じだけど儚げな美少女そのものでさあ~高貴な生まれじゃなさそうなんだけどどこか上品で、僕と対等に話が出来る位の教養もある訳よ。

名前を聞いても名乗らないところか奥ゆかしくって守ってあげたくなる人なんだよ」

 


ご正妻の葵の上、相変わらず手紙の返事をくれない人妻空蝉の君、元皇太子妃の六条のマダム。

 


こうして並べてみると意固地で気が疲れる女性ばかりと付き合って来た光る君にとって夕顔の君というお方は互いに名も名乗らずに気楽に付き合える、

 


一服の清涼剤のような女性だったんですね。

 


主ののろけ話を聞きながら僕は頑として名を名乗らない女って…

 


すんげえ訳ありなんじゃねえか?

 


と不安に思って「ひとつところの女人にのめりこんでいるとよからぬ噂が立ちますよ」と釘を刺したつもりですが光る君はというと…

 


「そこでだ惟光くん」

 


「なんですか?」

 


「変装用に君が狩衣を貸してくれたらその問題は解決すると僕は思うんだよ」

 


狩衣というのはこの時代、低い身分の男が着る貴族の普段着です。

 


帝の皇子で賜姓源氏で宰相大将であるガチセレブの光る君が、現代の感覚で言うならポロシャツにジーンズで一般人に変装して愛人の元へ通うようなもん。

 

 

僕は目の前がくらくらしました。

 


が、拒否出来る立場でも身分でもないのでもう言う通りにするしかありません。

 


光る君をそこまで夢中にさせる夕顔の君ってよっぽどいい女なんだろうなあ…何だかんだで上流貴族って羨ましいよ。

 


と僕は僕で光る君が通う相手の家に仕える女房(お手伝いさん)をつまみ食いしてたんですけど。

 


え?お前も主の愚痴を言えないって?

 


やだなあ、これは光る君が意中の女性をゲットするためにまずは側仕えの女房から攻略するという…

 


営業活動ですから!(敬礼)

 


しかし、光る君に生まれて初めて

 


愛し愛されるという幸せを与えてくれた夕顔の君との別離は突然に訪れました。

 


もうすっかり秋だなあ、直垂一枚じゃ肌寒いよ…

と夜明け前の暗い空の下、光る君の朝帰りのお迎えの準備をしていた所に、

 


「ちょっと惟光さん大変なの!」

と僕の袖を引いたのは夕顔の君の侍女の右近さん。

 


彼女の顔から血の気が失せているのを見てこれは只事ではない!と思い、彼女に手を引かれるまま今は無人となっている六条の旧源融邸まで走りました。

 


その無人の豪邸は時々手入れはされているようで荒れてはいないけれど、やはり無人なので得体の知れない不気味さを感じる所…

 


僕でも怖いと思うこの場所に光る君はあろうことにか夕顔の君と右近さんを連れて一日を過ごしたというのです。

 


僕に黙って勝手なことを!

という怒りと

光る君が何か恐ろしい目に遭ったのでは?

 

という心配が入れ替わり立ち替わりして件の二人を見つけた所、光る君は夜着の前をはだけたまま、今しがた息を引き取ったばかりの美しい女性に取りすがって、

 


「僕を置いていかないでくれ…」と泣いておいででした。

 


「五条のこの家から庶民の暮らしや物売りの掛け声を聞いているのも物珍しくて楽しいけれど…たまには静かな所でイチャイチャしない?」

 


という光る君の思いつきでお伴に右近さんだけを連れ、夕顔の君が「なんだか怖いわ…」と帰りたがるのを無視して思う存分睦み合った後で夜眠っていたら、

 


夢の中で誰かはわからないが何やら美しい女性に恨み言を云われて驚いて飛び起き、怖がる夕顔の君を右近さんに託して人を呼びに行こうと彼女から離れたのがいけなかった。

 


戻った時には夕顔は人事不省に陥っていてそのまま冷たくなってしまった。

 


という事を切れ切れに語って下さった光る君が呆然と顔を上げて、

 


「どうしよう?惟光」

 


とやっと僕を頼ってくれました。

 

源氏の大将とあろう方が無人の旧邸に正体不明の女を連れ込んで死なせてしまった。なんて世間に知られてしまっては社会的に一気に潰されます。

 


文○砲なんてぬるいぬるい。

 


僕のようなパシリの貴族は、主の宮中での出世に人生の全てを賭けています。

 


「取り敢えず、この場所を出て光る君は二条院に戻りましょう。ご遺体の方は私につてがあるのでそこに移しますが、よろしいですか?」

 


この状況で僕しか頼る人間のいない光る君は「任せる…」と頼りなく頷かれました。

 


藤原惟光17才。人生賭けた主の為に…

 

揉み消させていただきます。

 

 

まずは光る君を生家である二条院(桐壺更衣実家)にこっそりお移ししてすぐに五条の知人の家から荷車を借り、

 


右近さんと二人で夜が明けたばかりで人影も少ない街中を、ご遺体だとばれないように菰を何重にも被せて夕顔の君をその知人の家に「僕の親戚が突然死した」と嘘をついて取り敢えず置いてもらい、

 


「付き添っていながらご主人を死なせてしまった貴女はもう家に帰れる立場では無い。

僕と貴女はもう共犯関係だ。互いの立場を守るために言う通りにしていただきますよ」

 


と夕顔さんのご遺体の傍で泣き伏す右近さんを決してこの家から出ないように、と半ば脅すように言い聞かせ、

 


阿闍梨をやっている兄貴のところに行って事情を話し、なんとか翌日の葬儀までこぎつけました。

 


夕顔の君の葬儀の後、せめて一目だけでも会いたいと光る君がお忍びでおいでになり、

「僕のせいでなんてことに…せめて声だけでも聞かせてくれ」とご遺体にすがり付くお姿は周りの者たちの涙を誘いました。

 


そこで右近さんは初めて、

 


「御年は18でございました」

 


と夕顔の君は元々三位中将の娘で父親の死で没落した姫君であり、

 


頭の中将の側室になって姫君をひとりもうけたものの中将のご正妻からの強い嫉妬を買ってしまい、

 


嫌がらせを避けるために逃げ出してここ五条に隠れ棲んでいた。

 


と主の正体を明かしたのです。

 


なんと、夕顔の君には娘がいた。主が次に言う台詞は決まっています。

 


「よろしい、姫君は私が引き取ろう」

 


「それはなりません!!源氏の君」

 


と僕は言葉を被せて制止し、

 


「頭の中将のご正妻は『あの』弘徽殿(こきでん)の女御の妹君ですよ。このことが世間に知れたらあなた、完全に潰されます」

 


弘徽殿の女御とは皇太子の母で後宮では絶対の権勢を誇るお方で、光る君の母である桐壺更衣を嫉妬でいじめ殺した張本人。

 


私から帝を奪ったあの女の息子が憎い、と今でも光る君の失脚を虎視眈々と狙っているのです。

 


いくら大将といえども舅である左大臣パパからお小遣い貰って遊び暮らしている17才のガキが子供を引き取る、だあ?

 


「つまり、あなたの現実とはこうです」

 


と僕は理路整然と諭して忘れ形見の姫君への執着を諦めさせ、光る君はわかった、と力なく頷いて…

 


「では夕顔の形見と思ってこの人を連れていこう」

 


と侍女の右近さんを引き取って二条院に戻り、右近さんはそのまま光る君に仕える事になりました。

 


夕顔の君を荼毘に附してから数日後のことです。隣家の使いの者が、

 


「我が主と右近さんがいくら待っても帰ってこないんです。何処へ行ったのか惟光さん、ご存知ありません?」

 


と主を失った家でこれからどうすればいいのか、と不安まみれの表情で僕に訊ねて来ましたが、僕は…

 


「さあ、知りません」

 


と答える事しか出来ませんでした。

 


次に五条に立ち寄った時にはその家は無人になっていました。

 

 

夏の夕方に咲いた花が翌日の午前中にはしぼんでしまう夕顔のように互いに人目を忍ぶ、短く儚い恋でした。

 


一連の出来事が果たして現実だったのか、夕顔の君はこの世に実在したお方だったのか?

 


と思ってしまうほど痕跡を消し去った空家の前で佇むばかり。

 


それから数年は白い小さな花を直視する事が出来ませんでした…

 


藤原惟光17才。人生には突然消え去ってしまうものがあることを知った。

 


惟光

「なんだかしんみりしてしまいましたね。僕の最初の活躍はヨイショどころか隠蔽工作だったんだもの」

 


作者

「この隠蔽工作のために作者の紫式部さんはあなたのお兄さんを阿闍梨に設定したんですね。なんだか策士だな~」

 


惟光

「そう思いますよね~次回『相方、源良清』ではまたまた光る君に悩まされます」

 


惟光くんの苦労は続く。

 

 

裏の木戸はあいている

山本周五郎氏の作品の中で特に好きなのが

 

裏の木戸はあいている

 

です。

 

その家の裏の木戸をくぐった向こうのとあるお武家の裏口には木箱がある。

 

箱の中にはけっして高額ではないが本当に生活に困っている人が二、三日は生きていける位の銭が入っていて、受け取るものたちは

 

ありがとうごぜえやす。

 

と言って箱の銭を受け取って木戸から出ていくのだ。

 

無利子無期限無催促で金貸しをしているとある武士のお話。

 

…もうこのような時代だからこそこの作品読んで心温まりたいじゃないですか。

 

この作品の登場人物たちには裕福な武士もいて金貸しをしている主人公に

 

「困ったことがあれば相談してくれれば少しは融通してやるものを」とか言うのですが、

 

こういうことを平気で口で言う人間は実際泣きつかれたら誰も助けない。

 

そこそこに富貴な人は自分の立場の檻から困窮している人を見下しながら生きている。

 

という人間の本質を…主人公は見抜いているんですよ。

 

貧窮ってものは人を本当に追い詰め、破滅させる。ってことを過去の悲しい事件から思い知り金貸しを始めた主人公の、

 

人間というものを諦めていない生き方に心に体温を取り戻す作品です。

 

人間の形をしていながら、

心は蛇のように血の冷たい生き物になってやしないか?

 

自分の心が他人にかける言葉が侮蔑や冷笑だらけになってしまったら

 

本当に危険ですねえ。と思った次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3話 伝説の父ちゃん・前- カクヨム

 


第3話 伝説の父ちゃん・前 - お節介なAI(白浜 台与) - カクヨム

 

 

明らかにチャウ・シンチーがモデルの父ちゃんのお話。

 

伝説の父ちゃん・前

 

四輪駆動の車が山道を分け行って奥へ奥へと鬱蒼と暗い森の中に呑み込まれていく。

 

辺りが暗くなるにつれハンチングを被った運転手の男と、助手席の男は警戒心を強め、特に助手席の男は今握っている散弾銃がいつでも発射できる状態である事を確認するのだった。

 

運転手の男は野田さん、助手席の男は金井さんといい、二人とも年齢は50代。


地元の猟友会の、腕利きのハンターだった。

 

二人が地元生まれの地元育ちで、この山が野生の熊の群生地である事を熟知しているし、
熊が人を襲った、とかふもとの畑に甚大な被害をもたらす恐れがある時に猟友会は出動するものである。

 

だのに、後部座席に座って
「揺れるねえ」と余裕ぶっこいた口調で

 

北海道の山奥で熊殺しならぬ熊倒しの怪奇現象!

カムイコタンの超人オキキリムイの仕業か!?

 

という見出しの「月刊グウー」という明らかにオカルト愛好者向けのやべえ雑誌を広げて

 

「小塚幸夫はまことしやかな記事を書く天才だよねえ」とのたまわって

 

ふん!と鼻で嗤いながら雑誌を座席の後ろの荷台に放り投げた若者の

 

「この超人の調査をしたい」とゆーわがままで、自分たちはここまで来る破目になったのだ!

 

半年前から山のふもと近くで熊が倒れているという目撃情報が相次いでいる。

 

その数8頭。念のために麻酔を打って診察した獣医の診断によるといずれも外傷は無く、

 

「頭や胸部を強く殴打されて気絶させられている。そう、まるで強い相手に喧嘩で負けてのされたみたいに」
というものであった。

 

熊同士の喧嘩でも引っ掻きや噛み付きで傷は付くものだ。

 

「まさか、素手で熊を倒せる超人がこの山に棲むって言うんですか?」


「いるよ」


ハンターのからかうような質問に、青年勝沼悟はきっぱりとした口調で答えた。

 

植物学者、勝沼悟《かつぬまさとる》は興味の対象があればそこへ行かずにはいられない性分である。

 

欲しい海藻があればサメのいる海へも潜るし、温泉に生える珍しい苔があれば活火山にも近づく。


サンプルを採るためなら何をしてでもそこへ行く、たとえそこが野生熊の巣窟であっても。

 

「生物学の研究の真髄はずばりフィールドワーク。現場百篇、足で稼ぐに尽きます」

 

とこのやけに背が高い27才の若者はまるでテレビドラマに出る刑事みたいな事を言う。

 

と金井さんはいきなりふらりと自宅にやって来て「護衛として雇いたい」とアタッシュケースごと札束をくれた若者に、逆らえない何にかの力を感じた。

 

それは札束で頬をひっぱたくような下品な取引をする成金とは違う、別の吸引力…不思議なカリスマ性というべきか。

 

面白そうな兄ちゃんだ。と魅力を感じたから金井さんは野田さんを誘ってここまで来たのだ。

 

急にがこん!と音を立てて車は斜め右に傾いて止まった。

 

野田さんは車から降りてしまったパンクだ!と呻いた。

 

悟が降りて右の後部車輪を見ると、地面に浅く埋められた金属製の罠の、槍の穂先みたいな棘がパンクの原因だった。

 

「皆さん、僕たち人間は招かれざる客…ここからは徒歩で行きましょう」

 

愉しげに嗤いながらに銀縁眼鏡をずり上げる悟の横顔を見た野田さんは、

 

こいつはフィールドワークに夢中になってる内に不慮の事故で殉職するタイプだ。と思った。

 

三人は木の枝で罠の有無を確かめながらそろそろと歩き、やがて500メートルほど進んだあたりで、

 

あーちゃちゃちゃちゃちゃー!!!

 

という雄叫びと共に、薪が銃弾のように三人めがけて飛んで来た。しかし、薪はかすりもせずに三人の間をすり抜けて行く。

 

こんな芸当が出来るのは「あの人」しかいない!


悟は視線の向こうの切り株に一本の薪を垂直に立てて片足でつま先立ちして精神統一する黒ズボンに白いタンクトップ姿の男に親しげに声をかけた。

 

「ハンさん!!」

 

ハンさん、と呼ばれた40男は、親指で自分の鼻先をぴっと弾いて精神統一を解き、

 

自分に向かって銃口を構えるハンター二人に

 

「無腰の人間に銃を構えたら、お前らに人権はない」


と不敵な笑いを見せた。ハンター達が怪訝な顔をして互いの銃口を見ると、すでに投げられた小枝で詰まっている。ひゃあっ!とハンターたちは腰を抜かした。

 

「紹介します…僕の大学院時代の先輩で、伝説のカンフーマスターのハンさんです」

 

「よろしくな」とハンさんは秋の北海道の山中、タンクトップ一枚で木漏れ日の中笑った。

 

熊倒しの正体は、伝説の超人オキキリムイではなく、伝説のカンフーマスターだったのか!

 

「父ちゃん、お客さん?」とハンの山小屋から出て来たのは10歳くらいの利発そうな顔つきをした少年。

 

「コウくん、大きくなったな」

 

と悟はハンさんの息子の頭を撫で、プレゼントのタブレットを渡すとコウくんは飛び上がって喜んだ。

 

武装解除した金井さんと野田さんは、この光景、夢であってくれよ…と切に願ったが無駄なことは無駄であった。

 

後編につづく。

 

おこもり映画紹介「南極料理人」

この映画は

 

海上保安庁の料理人(堺雅人)が怪我した同僚の代わりに南極のドームふじ基地に派遣される事になり、

 

ラーメン大好き隊長(きたろう)と

 

妻子との仲が冷えている氷雪学者(生瀬勝久)と

 

彼女と超遠距離恋愛中でメンタル不安定気味の大学院生(高良健吾)と

 

極地でマラソンして己を鍛える命知らずな医師(豊原功補)たちの

 

食事のお世話を基地の備蓄食糧だけで賄わなくてはいけない極地の極限状況赴任生活コメディ。

 

麻雀に負けては外に飛び出し、失恋を確信してはメンタル崩壊して泣きながら外に出て走り出す

気持ちは分かるけど、凍死すんぞ。

 

高良健吾のぶっ壊れた演技にめちゃめちゃ笑ってしまった😂

 

高良健吾はイケメン役よりもこういう役の方が面白い❗️

 

高良健吾はぶっ壊せばぶっ壊すほど輝く。と確信した作品。

 

ロケ地、極寒の北海道網走で満面の笑顔でマラソンする豊原功補さんの役者魂。

 

テレビ電話で小学生に

「なーんだ、昭和基地じゃない方の基地なんだ」とがっかりされる隊員たちの「間」が絶妙です。

 

派手じゃなくても、あまり金かけなくても面白い映画って作れるのね😁✨✨